constructive/eating   [photograph]
2018-


constructive/eatingは水没移転集落のあるダム湖と、そのダム湖をモデルにしたダムカレーの写真で構成しています。
撮影しているダムカレーは実際に現地の飲食店などで販売提供されているものです。
この二つのイメージはどちらも"同じ場所"が対象ですが、展望スペースから見えるダム湖の風景は その見え方から以前の状態をイメージする事が不可能な、過去から切り離された風景です。
しかし、水没集落という過去の情報が与えられると、見えている風景はレイヤー化し、見えない風景の層を意識する事になります。
ダムカレーは、例外もありますがライスで堤体をつくり、ルーを湖に見立て、器の中に風景再現を行っています。
地域振興としての要素が強いので、地産地消や地域の歴史、観光資源等の要素も取り入れられ、実際の風景再現というよりは、 その場所に関する様々な情報を入れ込んだ立体表現と言った印象です。
和食には(見立て盛り)という風景や花鳥風月を表現する盛り付けがあるそうですが、 ダムカレーはこの様な和食の要素や見立てが取り入れられています。
多くの場所では水没移転地域に住んでいた住民が考案・販売に携わっていて、岐阜県の徳山ダムでは 「故郷のことが忘れられないように、少しでも知ってもらえるように」そんな思いからカレーを考案したと言います。
ダム湖とダムカレー、それぞれ異なる構造をもつ二つのイメージですが、どちらも同じ場所であり、造られた風景です。
しかし、どちらのイメージからも"水没集落"という風景の層は視覚的に認識することは出来きません。
このような風景の持つ盲目性と写真を取り巻く盲目性を通して"見え難い世界“に対し補助線を引く事、それがこの作品で行いたい事のひとつです。



(形態 / インクジェットプリント)